大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)4508 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山田思郎の上告趣意について。

所論は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

そして、原判決が、弁護人の控訴趣意(一)について、所論摘示のごとく保管料が

弁済期に達していたことが認められないから留置権の行使によるものとする論旨は

当らないと判示したことは所論のとおりである。しかし、第一審判決の判示第一の

認定事実は、「その魚鱗の一部を自己のため他に処分する目的で」云々といつてお

り、弁護人の控訴趣意(一)では、右目的意思を否認し保管料債権に対する留置権

の行使の意味で本件行為をしたものと主張したものであつて、民事上の留置権の抗

弁を主張したものでないこと明白である。しかるに、原判決が右のごとく民事上の

留置権が成立しない理由を以て論旨を排斥したのは失当であるといわなければなら

ない。しかし、原判決は、続いて、「又原判示(第一審判決の判示)第一事実は、

原判決(第一審判決以下同じ)の挙示した関係部分の証拠を綜合すれば、充分これ

を認めることができるし、記録を調査しても原判決には採証の法則に違反したかど

のあることを認めることができないのみならず又右事実の認定に誤があることも発

見することはできないので論旨は理由はない。」と判示したのであるから、原控訴

判決は、無用の説示をしただけで、結局違法は存しない。

弁護人中野峯夫の上告趣意について。

所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らな

い。また、記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号に従い、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり決定する。

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昭和二九年一月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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